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「だから、なんでロジャーが泣くの」
茉子に抱きしめられながら、彼が言った。
2人の足首に波が打ち寄せる。
その優しい波音だけが2人を包んでいた。
「ヘンなオバサンだなぁ」
「オバサンって言わないの」
「ヘンなロジャーだなぁ。僕がどう生きようと関係ないのにさ・・・」
茉子はぐしゃぐしゃになった顔を上げて
「そんな事言うなら、あなただって相当ヘンよ、ロッキー。私がどう死のうと関係ないのに、こうやって私と一緒に居るんだから」
と彼を睨みつけた。
「そりゃそうだ」
と、彼は微笑みながら茉子の涙を指で優しく拭った。
まるで小さい子供の顔を拭うみたいに。
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