Reborn

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慌てて部屋の電気をつける。 「ロジャー!どこか痛むのか!?」 彼は茉子の痛みに歪む顔を見て言った。 茉子は、肩で息をしながら、バッグを指差して 「薬が、バッグに・・・」 と、やっとの思いで言った。 「薬か!わかった」 彼は茉子のバッグを開けると、錠剤の束を見つけて茉子の手に渡し 「今、水持ってくるから」 と、洗面所へ消えた。 意識が、朦朧とする。 彼が、水を持って部屋に戻ってきたところまでは覚えている。 彼の浴衣の前がはだけてしまって、格好悪くなっていた事も。 朝顔柄の浴衣が、すごく似合っていたのに、もったいないなぁ、とも。 「ロジャーッ!ロジャーッ!?」 彼の声が遠のいていく。 ロジャーじゃないよ、茉子だよ。 朦朧とした意識の中で、茉子はそう言いたかった。
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