Reborn

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「ちゃんと食べなさい」 母が居なくなったあと、親戚の伯母の家にあずけられた茉子にとって、食事の時間は地獄だった。 伯母には2人の息子がいて、食べ盛りの2人といつも比べられた。 母が亡くなった痛手から回復する間もなく、食べる事を強制された。 「人はね、辛くても食べたら何とかなるから」 伯母の持論だった。 茉子が覇気が無いのもすべて、ご飯をちゃんと食べていないからだ、と勝手に決めつけた。 食事の度に襲われるプレッシャーに、茉子はますます食べられなくなっていった。 「おはよう。もう、平気なの?」 布団から、ムックリと起きた彼は本当に子犬みたいな顔だったので、茉子は笑いを堪えた。 「もう平気。ありがとうロッキー」 「お粥、食べれた?」 「うん。半分は食べた」 「そう。無理しないで。ゆっくり食べな」 彼は茉子の頭に自分の大きな手のひらを置いて、父親みたいに優しく撫でた。
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