Reborn

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彼のぶんの朝食を仲居さんが並べている。 部屋の中に舞茸の香ばしい匂いが立ち込める。 「いい匂い」 「ロジャーも食べたい?」 「ううん。見てるだけでいい」 「そう?なんだか悪いな。僕だけこんな豪華な朝ごはんで」 「気にしないで。2、3日経てばまた普通に食べれるようになるから・・・・」 そう言って、茉子は障子を半分だけ開けた。 海が見える。 昨日と同じ優しくて大きな海。 2、3日経てば、と言った自分の言葉を心で復唱する。 私はまだあと2、3日も生きているつもりなのか・・・・。 いったい、私はいつまでこうして・・・・。 「ロジャー、聞いてる?」 急に話しかけられて、 「あ、ごめんなさい。なに?」 と慌てて振り向く。 「今日は1日ここで身体を休めて、明日には出発するよ。いい?」 彼はこの大きな海みたいな澄んだ瞳でそう言った。
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