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知らない自転車屋のお爺さんと、自殺の邪魔をしてきた男の子と、ただ3人でアジの干物を焼いて食べているだけだった。
そんな日常が、こんなにも幸せだと感じるなんて。
どこにでもある、こんな些細な幸せが今の茉子の心に深く沁み入ってきて、涙が沸き上がって止まらないのだ。
「ごめんなさい。やだ。なんで泣いてるんだろ・・・・」
隣で黙って食べていたお爺さんが、自分の首に引っ掛けていた汚いタオルをとって、茉子に渡しながら言った。
「煙が強すぎたかな。目に沁みたんやろ」
ロッキーもそれに乗っかるように
「確かに火力が強いかもなぁ。消しますか?」
と七輪の網を取った。
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