Reborn

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「え・・・・!?」 茉子は耳を疑った。 児童養護施設って言った? ロッキーは別に特別な事なんて何もないよ、と言わんばかりに微笑み 「居ないんだよ、親」 と言った。 「こういう話すると気をつかうだろ?皆。そういう周りの空気が苦手でね。あまり言わないようにしてる」 ごめんなさい、と言いかけたが、茉子はそれを飲み込んで聞いた。 「どうして、私には教えてくれたの?」 すると彼はハハッと笑って 「死ぬ人間には何言ってもいいだろ?どんな秘密を知ったとしても天国まで持ってくんだろ?」 と茉子を試すように言った。 「どっちにしても、ありがと」 茉子はそう答えるのが精一杯だった。 彼の他人に対する優しさが、どこから来ているのか分かってしまって泣いてしまいそうだった。 必要以上に心の距離をつめて来ない彼の寂しさと優しさにこの時の茉子は救われていた。
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