Reborn

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「中に入って。土足で構わないよ」 ドアに鍵はなく、そのまま中へ入る。 意外にも掘っ建て小屋の中は明るかった。 窓が1つ。 小さな台所。歯ブラシがコップの中に1本だけある。 床には布団代わりに毛布。 その上に幾何学模様のラグが掛かっていた。 若い男の子が住んでると思えないほど、こざっぱりとした良い部屋だった。 「ここに、住んでるの?」 「ナイショ」 「ナイショって」 茉子は笑ってしまった。 年甲斐もなく若い男の子を可愛いと思ってしまう。 「確か、ここに地図が」 と彼はズラリと並んだ本の間に指を挟んだ。 中から折り曲げられた地図を引っ張り出す。 「あった、これこれ」 彼が、床に地図を広げている間に茉子は本棚の本を順番に眺める事にした。 中学生2数学。 中学生2英語。 中学生2理科・・・・。 学校の教科書が学年順に並んでいた。 高校3年生まである。
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