Reborn

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旅館にさえ2人きりで宿泊した仲だ。 男女関係を匂わす行いは何も無かった訳だし、きっとこれからも何も無い。 頭では分かりきった事なのに、まだ胸がザワザワしてしまうのは、年齢のわりに経験が少ないから、なのだろうか。 得体の知れないオバサン相手に生活の為とはいえ、自分の身体さえ捧げてしまう若い彼のほうがよっぽど"経験値"が高いのだろうな、と茉子は先に届いた親子丼を頬張りながら思った。 ホテルの部屋に入ってからというもの、テンパってよく見えていなかったけれど、この部屋はなかなかセンスが良い。 グレーで統一された家具は高級そうで、アメニティが乗っているトレーや、珈琲や紅茶が入ったボックスなどは赤で統一されていた。 一見、高級ホテルと大差ないくらいの空間。 ラグジュアリーな雰囲気とビジネスな雰囲気の中間のような。 茉子が昔、足を踏み入れたラブホテルは恥ずかしいくらいゴテゴテの造りだった。 本当にただ"やるだけ"の空間が広がっていた。
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