Reborn

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「もう食べてんの?旨い?」 タオルで髪を拭きながら、ロッキーが風呂場から出てきた。 シャンプーも香水みたいな良い匂いがする。 昔のホテルみたいに安っぽい匂いはしない。 「うん。ごめんね、先に食べてる」 「いいよ。温かいうちに食べな」 と彼は微笑んだ。 まるで家族だ、と茉子は彼を眺めながら思った。 茉子の家族は一家離散した。 母が自殺して地元にも居られなくなった。 母にもう少しだけ、人並みの強さがあったなら茉子と2人、今でも強く生きていただろうか。 ロッキーは。 彼は、どうなのだろう。 産まれた時すでに親も、育ててくれる親戚も居なかったのだろうか。 「おっと。来た来た」 彼は嬉しそうにアツアツの唐揚げセットを取りにいった。
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