Reborn

63/73
前へ
/73ページ
次へ
唐揚げの美味しそうな匂いが茉子にまで届く。 他人のおかずの匂いで、茉子は何倍でもご飯が進むなぁ、と心の中で笑った。 ロッキーは本当に美味しそうに食べる。 その表情や仕草を見ているだけで、茉子は自分が命にかかわる病だということをつい忘れてしまう。 それは、幸せでもあり、不幸でもあった。 ずっと彼と一緒に居たい。 そう思わせてしまう彼を罪深い男だと心底思った。 「1個やるよ」 彼はそう言って、箸に摘まんだ唐揚げをあと一口で終わってしまう親子丼の上に乗せた。 「ありがと。お返し、無いけど」 茉子が笑うと、彼は 「あとでカラダで払ってもらうからいいよ」 と舌をペロッと出した。
/73ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加