Reborn

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「ねぇ、これ教科書?」 地図を真剣に見ている彼が顔をあげる。 「ああ、それ?捨てる機会がなくて・・・」 「随分、年季が入ってるのね」 「僕のじゃないからね」 と彼はサラッと不思議な事を言った。 じゃあ、誰の?と聞こうとした茉子の言葉を察してか 「質問は無しね。僕たちはそういう関係じゃないでしょ?」 と笑った。 「そういう、関係?」 どういう関係・・・? 何とも言えない表情の茉子に彼は言った。 「未来のない関係」 ああ、そういう意味か。 「そりゃそうだ」 と茉子はすんなり納得して本棚に視線を戻す。 「さて、と」 彼は地図をポケットに入れて 「日が暮れてきたから今夜はここで休んで、朝出かけようか」 とデートに出かけるカップルのような台詞を言った
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