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茉子と彼の生活が始まった。
それは、いわゆる新婚でも同棲でもなく、男女の同居に毛が生えたみたいな生活だった。
茉子は、身体の調子が良い日には台所に立ち、ロッキーのために手料理を振る舞う。
ロッキーは息子みたいにそれを平らげて満足そうに微笑んだ。
将来のプランなんて何1つ無かった。
ただ、2人がそこに居るだけで良かった。
今日を生きている。
ただ、それだけで。
夜中に目が覚めた。
夜蝉が鳴いている。
夏の夜風が気持ちよくて茉子は目を閉じた。
「まだ、死にたい?」
背後から彼の声がした。
満月に照らされた茉子の表情は希望に満ちていた。
了
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