批評家Ａ

　カーソルがチカチカと点滅を繰り返す。最後に突き付けられた冒頭と同じ台詞。何様かと聞かれたら何様でもない。わたしは、何者でもないのだ。

　もう一度アップルノベルへとアクセスし、自分の批評スレッドを開く。

・全体的に読み辛さを感じました。

　そう書いてはあるものの、どうして読み辛いと感じるかの理由は書いてない。当然だ。それはわたし個人の感想でしかないからだ。

・展開が急すぎます。

　なぜ急すぎてはいけないのか。当然それも書いてない。

・なにを伝えたいのかさっぱりわからない。

　わたしの読解力が足りないせいじゃないのか。わからないにしても、こんな書き方をする必要はあったのか。

　本当にどこまでも偉そうだ。なんの知識も根拠もなく、自分の主観だけでこれは良くないあれはこうしたほうがいいと、一体わたしはなにをやっていたのだろう。