恋するデッサン

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私が高校一年生の春、先生は、隣町の高校から赴任してきた。 名前は神代俊哉(くましろしゅんや)先生。 先生が、名前のフリガナをチョークで振るまでは、てっきり、「としや」かと思ってた。ずっと、「としや」センセって呼んでたから。言ってよね、「しゅんや」だって。  俊哉。としや。しゅんや。あの日から、私の中で特別な名前になった。 俊哉センセ、ちゃんと覚えてた?私は貴方に会ったことがあったんだから。 あれは、中学三年生の時だった。私は家出をした。理由は、あんまり言いたくないけれど、簡単に言えば、お父さんとお母さんの仲が悪いから。毎日些細な事から、言い争う親を見て、子供は、まともになんか育たない。 そんな、まともでない家庭で育った、私の持論。親ガチャなんて言葉があるけど、本当、その通り。 私は、はずれた、そう思ってた。
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