ボーイ・ミーツ・ガール・オブ・ザ・デッド

11/16
前へ
/16ページ
次へ
「......『想い出に辿り着くまでに距離の長さや時間の順番はない。だからいつでもどこにでも行ける。もちろん俺もお前も想い出だから、どこかで誰かが、距離や時間に関係なく、いつだって会いにきてくれている。残念ながら俺たちはすれ違ってしまって、それに気がつかないことも多い。だから夜を描いて夢を見せて、想い出の正しい場所に会いに来てもらうんだ。だけど、ただ真っ暗なだけの夜だと想い出も暗くなる。暗いと行き先を迷ってしまうんだ。だから導きの星を描いて正しい想い出のある神様のポケットまで道案内するんだ』  ウサギは赤い目をしてそう言いました。  ライカはウサギの瞳が最初から赤かったのか、哀しくて赤くなったのか分かりませんでしたが、その言葉に自分がしなくちゃいけないことは何かを知りました。そしてライカはマイニチ、マイニチ、イッショウケンメイに夜と星を描きました......」  いつも一緒の時間に大好きだった絵本『神様のポケット』を読み聞かせした。  彼女の瞳が赤いのは気のせいか......と思ったら一粒の涙が流れ、頬に薄い紅をさしたような暖かみが現れた。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加