ボーイ・ミーツ・ガール・オブ・ザ・デッド

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 蘇生死者(living dead)関連の報道は絶えない。  更なる変異種は細胞の寄生段階を踏まず直接に人を食し感染させる。奴らの運動能力の向上による怪物化が顕著で捕獲による行動制限は不可能だった。   「狩られる前に狩れ」  が、海外の被害地域の暗黙の了解になって自警団によるハンティングが横行した。死んだ者を再び殺す事の殺人罪適用が議論されたが、多くの国が自衛や治安維持目的の狩りを合法化した。  インドからの異例(minority)リポートは、生前に宗教上理由の菜食主義者だった屍は食人しないが、一度でも肉を与えると次なる肉を求め凶暴に変容してしまう発見だった。けれどタンパク質制限の食事療法と酵素投与と機械化部位パーツ補助で最低限の日常生活が送れるまでになるケースもあった。生前と同じような行動ルーティンが人間性回帰の近道らしい。  僕の彼女の泡沫化した心肺器官も機械化が検討された。呼吸と血流を取り戻せば脳の主導権が逆転する可能性があると言う。  
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