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僕は小説を書いている。拙いのは分かっている。
読まれない物語と眺められない絵は存在していないに等しい。あの素晴らしいヘンリー・ダーガー『非現実の王国で』だって半世紀も知られず彼の死後まで不可視のままだった。
僕は自分の綴った物語を墓下のゾンビにしたくなかった。今は様々なウェブサイトで投稿出来る。一歩踏み出す為に処女作を陽の当たる場所へアップしてみた。
あの日、手が触れてから親しくなった彼女は僕の短編を読んでくれた。
「正直に言うね。面白いんだけどなんだか風景が見えないの」
それは正直な意見だと思った。
彼女もイラスト投稿サイトに様々な絵をアップしていた。それを見た僕の意見は「絵にストーリーを感じない」だった。
「自分でもそう思う」
彼女は言った。
お互い中学三年生だからって理由の経験の少なさに甘んじていた。
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