ボーイ・ミーツ・ガール・オブ・ザ・デッド

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 僕と彼女はクラスは違えど同級生だ。そんな都合の良さもテンプレートに添っている。  デートは楽しかったが、ちょっとだけ困ったことがあった。彼女はベジタリアンだからだ。元は単なる偏食だったが、童話『神様のポケット』のイラストレーター先生がヴィーガンとして動物保護活動しているので感化され主義(ism)になった。肉嫌いの彼女の前でハンバーガーにかぶりつけないのは辛かった。  だから休日は彼女の作ったおにぎりを持ってスケッチに出掛けた。 「また今度来るときは大きな電車に乗ってこよっ」    ......そんなことを言っていたのに。  あの日、彼女は納得がいく絵が描けたと言った。  少女が白い薔薇の花束を抱いたそれは自画像だった。何故だか薔薇は少し萎れ花弁の縁が枯れ始めていた。  僕は魅了され言葉が出なかった。  あの日、感動したのに称えも喩えも思い付かなかったことを悔やんでいる。  彼女の遺作になった白薔薇の絵の前で。  
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