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信じられないことに。
洸夜の妄想が視えなくなって一週間が経ってしまった。
そして毎晩あった夜の営みもここ三日ほどナッシングだ。
普通三日もしなかったら、俺のちんこは(欲求不満で)爆発してる。
でも今はそれどころじゃない。
洸夜に愛想を尽かされたら、きっともう生きていけない。
……というくらい、今の状況にオロオロしていた。
なんとか洸夜に俺のこと必要だって思ってほしい! だからいつもは一緒にやる夕飯作りも洗濯も掃除も必要以上に頑張った。(ここ二日だけ)
俺が一人で作れる料理はカレーかビーフシチューだけなんだけど……。
今日はなんとサラダまで作ったんだ!
と、鼻息荒く、机に向かっている洸夜の背中に向かって、
「夕飯作ったから一緒に食べよう」
と誘ったのに、
「悪い。まだ終わりそうにないから先に食べててくれないか」
と、そっけない答えが返ってきた。
何がそっけないって……、俺のこと、振り返りもしなかった!
(まさか……本当はすっかり嫌われてる?!)
そんな。
まさか……本当に、俺……。
そんなこんなで、金曜日には俺の精神状態は最悪の極みだった。
ただただ砂を噛むような気持ちで講義を右から左へ聞き流していると、
「なぁ西條、お前土日、体空いてる?」
と、隣に座る小林が俺の肘をつついてきた。
「あ? 何?」
「バイトだって。ホテルの結婚式、ホール係。一緒にやってるやつが急に来れなくなって困ってんの。でかい結婚式でさ、人手が必要なわけ」
「土日……」
先輩の部屋に同居してるから人より家賃は安く済んでいるけれど、俺だって平日夕方バイトをしてる。食費に光熱費、仕送りはもらっているけど余裕があるってわけじゃない。たまには洸夜とデートで遠出したい時だってあるんだし。
ただ、二人きりの時間をたっぷり過ごせる週末は、なるべくバイトを入れないようにしてる。
でも今の状況で同じ屋根の下、洸夜と二人きりで土日を過ごすのは……ツラい。
我慢できずに無理やり押し倒してしまいそうだ。
そんなことしたら、決定的だろ?
本当に嫌われる……。
(それだけは、絶対に避けなければならない)
そうだ、今のこの辛い時期をなんとかやり過ごせば、またいずれ元通りのイチャイチャした日々を過ごせる時が戻ってくるかもしれないじゃないか。
洸夜に嫌われないためにも、ここは少し距離をとるのもアリかもしれない……。
と、その時の俺は思ったんだ。
2022.04.29
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