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① 妄想はお休みですか?
なぜだろう。
このところ生活に支障をきたしていない。
学食で食事中に噴くなどという粗相も全く皆無。
いいことだ。
いいことだけど……。
なぜそうなったかといえば……最近ヤラシイ妄想をしていないからだ。
俺がじゃない。
洸夜が。
おかしい。おかしい。おかしい!
あれほど四六時中、俺とのエッチを思い浮かべることがもはや空気を吸うのと同じレベルでやっていたあの人が……。
――まさか、愛想を尽かされた?!
いや、現実の性生活は充実している。
昨日の夜だって……。
風呂から上がって、お互いに体を拭きあいっこして。
イイ感じに盛り上がったところで、急に洸夜が奥の部屋に入って行ってしまったんだ。
そのまましばらく出てこなくて……。
準備万端くっつけて並んだ二つ布団。寝巻きがわりの浴衣を着てその上にあぐらをかいていた俺は肩透かしを食らったみたいで不機嫌になっていた。
もうね、期待で心もソコもはち切れそうになってたんですよ、俺はね。
風呂のなかではかわいく色づく彼の乳首とちんこを思う存分味わった。
恥ずかしがる荒野を四つん這いにさせて俺のことを受け入れてくれる窄まりに舌を這わせて差し入れて。
それでも「メインディッシュは最後の楽しみにして……」って洸夜が言うから!
頑張って〈待て〉してたんだ! 俺は。
(なのに、なんで俺のこと放ってくんだよう……)
元気一杯の分身を持て余してため息をついていると、パタパタと足音が近づいてきた。
(待ちかねてたんだからなっ)
と、文句ひとつくらい言いたい気分で顔をあげた俺はその場で固まってしまった。
目の前に女物のランジェリー……しかも紐が細くてめっちゃ透けてるエロいやつ……を身に纏った洸夜が立っていたのだ。
赤の総レースの向こうから乳首がっ。
洸夜の下半身、大切なところを覆っている三角はびっくりするほど小さくて半分以上、隠れていない。
それだけで充分扇情的なのに、
「に……似合ってる? この赤。どう? 冬木。やっぱり黒のほうが良かったかな……」
なんて言いながら俺の前でくるりとワンターン……。
人間、あまりにも強い衝撃を受けると意識が飛ぶ、って本当にあるんだなってことを俺は体感した。
どのくらい気を失っていたのか。
多分大した時間は経っていない。
「冬木ッ! 大丈夫? 湯あたりしたのか」
と、本気で心配する声がして、両頬にペチペチと軽い衝撃を感じた。
俺の顔を覗き込む洸夜と目が合った。
今思い返してみれば。
そのあとがだいぶ変態だった。
洸夜に色んなポーズさせて。
俺はそんな彼の足元に寝転がったり這いつくばったりして、色んな角度からそのエロい姿をちんこ扱きながら堪能した。
「ちょっ……冬木、このポーズ恥ずかしい」
と洸夜が目を逸らしながら顔を赤らめるとかは序の口で。
「この紐ホント細いよな。ホラ、こんなに食い込んで。マジエロいよ。大好き……洸夜……ッはぁ……」
腹の上に跨らせた洸夜に、あえてそのエロいランジェリーを着せたまま紐をずらして挿れた。
三角のレース生地からはみ出ている洸夜自身は、放った精液で濡れ濡れと光り、俺が下から突き上げるたびぶるぶると揺れて切っ先から嬉しそうに白いよだれを垂らした。
何度イッたか正直覚えていない。
「あ……ンっ! もぅ、感じすぎて怖いッ。あ、あぁーーッ!」
ガクガクと身体を震わせて達しても俺は手を緩めてあげられなくて。
息も絶えだえって感じの洸夜に、「今度は黒い方見せてよ」ってねだった。健気な洸夜がふらふらしながら持ってきてくれたそれを俺が着替えさせて。
セックスの時間が長すぎて窓の外が明るんでも俺は洸夜を手放せなくて、彼が、
「もぉ、離して。でちゃう」
といった時、本当は分かってたんだ。
太ももを膝を擦り合わせるその仕草から、洸夜が尿意を堪えてるんだって。
でも、俺は許さなかった。
「おねがっ! も、トイレ行かせろってェ!」
と、たまらず叫んだ彼の口に噛み付くようにキスをして黙らせた。
そして抵抗する暇も与えず、スッと下に移動した俺は洸夜のちんこを口いっぱいに頬張った。
驚いた洸夜が一生懸命俺の頭を股間から引き剥がそうと両手で俺の肩を押したり身体を捻ったりしたけれど、無駄だった。
俺の方が体がデカいからな。
俺が全てを飲み下してしまうと、
「ウソ….…、信じられない」
と、洸夜が両手で顔を覆った。
隠した顔はもちろん、耳も首も真っ赤。
あぁ、俺の可愛い洸夜。アンタの髪の一筋、皮膚の一片、細胞の一欠片全てを俺に頂戴よ!
恍惚としていた俺は洸夜が怒る意味が全然分からなくてさ。
散々泣き腫らしてまぶたが腫れぼったくなってしまった洸夜から、
「口をゆすいでっ。あと、今すぐ歯ブラシ3回以上しなかったら、もぅ一生冬木とはキスしてやらないからなっ」
と、マジで怒られた。
それで俺は正気に戻り、平身低頭平謝りしたわけだが……。
……うーん……。
ショックだったのか……。
「さすがに無いわー」ってなるのは仕方ないことなのか?
だから洸夜は最近イケナイ妄想を止めてしまったのか?
いや……。妄想なんて視えなくても俺はいつだって洸夜に夢中だし常にスタンバイオッケイなんだけど……。
なんていうか。
俺、求められてない? っていう不安で、頭ん中一杯なんだよ……。
2022.04.28
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