承&怒

1/3
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ

承&怒

 が、段ボール箱には持ち手となる穴が有ったので、しゃがんで中を覗いた。中には毛玉。汚い小さな毛玉。  溜め息を吐き、ずれた前髪を戻す様に頭を振る。酷いことをする人も居たものだ。自分の手で保健所へ持ち込む度胸もなく、引き取り手を探す能力もない人間。そして、仔猫が逃げ出さない様には出来る人間。こんなの、溜め息しか出ない。  運悪く、今は両手が塞がっている。この子達をどうにかすることなど出来ない。そもそも、何時から置かれていたのか分からず、生きているのかも定かではない。嫌なものだ。  とにかく、荷物を置きに帰る。もし、毛玉を拾うにしても、生半可な気持ちでは駄目だ。先ずは、スーパーで買った物を片付ける。  要冷蔵のものは冷蔵庫へ。ペットボトルはローリングストックコーナーへ。そして、安かった缶詰……良く見たら、猫用が混ざっている。安いからと、大して確認せずに買い物かごに放り込んでしまったせいだ。そして、おつとめ品は返品不可。仕方ない、これも何かの運命なのだろう。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!