転&哀

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転&哀

 動物病院から帰り、直ぐにお米カイロを仔猫達の傍に置く。ミルクは獣医が与えたから、直ぐには必要ない。ただ、見守るしか……いや、見守ることも、どうやれば良いのか分からない。  ミルクの時間になって、教えられた通りに仔猫達にミルクを与える。余り飲んではくれない。段々と生き物としての炎が弱っていく感触がある。苦しい、息が詰まる。  あの時、気付かないふりをすれば、こんな気持ちを味わうことは無かったのだろうか? いや、気付いても、スルーすれば良かったのか? 駄目だ。負けるな。  ミルクを与え、下の世話をし、細切れに休む。小さき生き物の世話とは、何とも繊細で大変なことか。それでも、回数を重ねる毎に吸う力が強くなる子も居る。それだけが救いだった。
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