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「うーん。まだ、知らない方がいいかもしれないよ」
「どうして?」
「だって、知ったらこわくて、寝れなくなるかもしれないよ」
お兄さんの言葉に、ボクはほっぺたをふくらませた。
「もうボクは五年生になるんだ。弟のためにもボクは本当のことが知りたい」
そう返しても、お兄さんは話そうか迷っているようだった。
「教えてくれないなら、ボクは一人でもあの山に行ってやる」
そう言ってボクは、山の方へと体を向けた。
「ちょっと待って。分かったから」
お兄さんはボクの肩を掴むと、困ったなぁと言った。
「本当のことを話すけど……あんまり周りの人に話しちゃだめだよ」
「どうして?」
「とても怖いことだからね。みんなが怖がって、夜寝れなくなったら大変だから」
そんなに怖いことなのかと、ボクは唾を飲む。
「あの音は呪いの音なんだ」
お兄さんが声を潜めて言う。
「呪いの音?」
「うん。あの山にはたくさんの木があるだろう? そこに藁で作った人形に名前や髪の毛を入れて、釘で打ち付けるんだ」
「どうして、そんなことをするの?」
ボクはワケが分からなくて、首を傾げる。
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