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「嫌いな人に悪いことが起きるようにする、おまじないなんだ。夜中にあそこに行って、だれにも見られないようにその人形に釘を打てれば、願いが叶うとされているんだ」
ボクは怖くなって、急に体が寒くなった。
「だからあの山には絶対に行かない方がいいよ。もし、おまじないをしている時に見つかったら、追いかけてくるからね」
ボクは何度も頷いた。
とても怖かったけれど、ボクは手を強くにぎって、震えそうになるのを我慢した。
「弟くんには夜になると、鳥が木を打つ音だったと伝えた方がいい。本当のことを話したら、とても怖がっちゃうからね」
ボクもその通りだと思った。お兄さんの話を聞いたボクですら怖かったのだから。弟はまだ小さいし、もっと怖いと思うだろう。
その日の夜に、また山からカーンカーンという音が聞こえてくる。
弟が怖いと言って、ボクの布団に入りこんできた。
「大丈夫。隣のお兄さんに聞いたら、鳥が木を打つ音だって教えてくれたんだ。だから、大丈夫だよ」
ボクがそう言うと、弟はほっとしたように眠りにつく。
だけどボクは本当のことを知っている。
カーン、カーン。
ボクはこっそり耳をふさいだ。
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