プロローグ

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私はもはやアラサーと呼ばれる年齢が近づいている。歳をとるにつれて、結婚の可能性はどんどんと低くなっていく。 しかし、私の恋愛はどこまでもうまくいかない。先述したように、外見だけの男に引っかかってしまったり、せっかくの好機を勇気が出ずに逃してしまったこともある。 神が何度も与えてくれた出会いのチャンスをことごとく潰してしまっている私にとって、星一は最後のチャンスなのかもしれないとさえも思っていた。 この出会いを逃せば、もう私に明るい未来はない。年齢から考えても、それは間違いなく言えることだった。 でも、私はそんな状況に追い詰められながらも、勇気が出ないでいた。想いを伝えられないでいた。こんなに相手に強く好意を持って、頭の中を埋めつくしているというのに、どうしてもそれが言葉となって出てこない。 彼は、私のことを意識してくれているなというのは感じる。しかし、彼もまた恋愛には奥手と見え、私と同じでどうしても勇気を出すことができないでいるのだろう。 気持ちはとても嬉しいし、もじもじしていないで想いを伝えて欲しいなとは幾度も思った。つまり、私は待っていた。彼が動いてくれるのを。 しかし、ある時私はかつて好意を寄せていた男性のことを思い出した。その男性は私に強い好意を持ってくれていると確信していたので、彼の方からそれを言葉にしてくれるのを今か今かと待っていた。しかし、その男性は結局いつまでも勇気が出せないまま、突然、海外転勤が決まって、私達の関係は終わった。私はあの時のことを、今でも後悔している。 別れは突然に訪れる。崩壊の時はいつ迫っているか分からない。だからこそ、いつまでも受け身でいてはいけない。同じ過ちを繰り返してはならない。そう己の心が忠告するのを聞いた私は、ついに決心した。 七夕の夜に、必ず想いを伝えようと。
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