旧家‥奇談 —過去からの笑顔—

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 レイコが到着したのは『BARしおさい』という店で、本通りから少し入った閑静な場所にあった。  彼女は前まで行くと立ち止まり、少し髪を直してからドアを開けた。  店内は、こじんまりとした和風という感じで、好感が持てた。  客は十人たらずという状況で、上野マコトは独りでカウンターにいた。  手にしたグラスの酒は、半分以下になっていた。  レイコは軽く挨拶して、ドアに近い席を選んだ。 「何かあったの?」 「いいえ。何もないから気分を変えたくて‥‥」  マスターが声をかけた。  彼女は困り、自分のイメージに合った酒をオーダーした。  やがて届いたのは、薄いピンクのカクテルだった。
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