旧家‥奇談 —過去からの笑顔—

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 その日の午後、レイコは去年、病死した母の納骨を済ませた。  その夕方、彼女は食後、ふとスマホを手にした。  が、決心がつかず、何度かテーブルに戻した。  仏壇に視線をやった。  が、当然ながら母の骨壷はもう無い。  溜め息をつき、再度スマホを手にした。 「心に穴が‥‥」  誰かに電話する。  相手は、今の職場――ITコーポラスの同僚で、先輩の上野だった。 「あー、もしもし、上野さんですか?」 『おー、その声は田中? こんな時間にどうした?』  その二年上の先輩‥‥上野は独身だった。  彼は明日は休日ということで、会社の近くのBARでチビリチビリやっていたのだ。  それを聞いたレイコは、気分転換に同席することに、タクシーを呼んだ。
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