夢見る世界

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「こちらの不手際です。どうぞ頭を上げて下さい。災難な日になりましたけど、今後とも夢想幻国を楽しんでくれる事を願っています。では、今から3分後にシスターのところに向かって下さい。」  俺とミサさんに向けて再度頭を下げるGM二人に見送られながら、俺の視界はブラックアウトをしたのだった。 《GMスサノの処置により、始まりの村『ファース』の転移ゲート前に移動しました。》  NPC以外居ない静かな村の広場に戻った俺は、隣で同じように安堵の顔を見せるミサさんに声を掛ける。 「まあ、折角なので今度はゆっくりと楽しみながら、クエストを進めましょうか。」 「はい。お願いします。」  人見知りを克服の為に始めたって言ってたし、ゲーム自体初心者っぽいんだよな。  もしかしたら、18歳かもしれない。そうなると、もっと同世代の子と遊ぶのが適しているだろう。  俺は、今年で33歳になるゲームオタク。仕事は金属加工の製造ラインで黙々と仕事。  なので当然、女性との接点はゲームの中ぐらいしかない。  まあ、彼女もゲームに慣れてくればフレンドも出来るだろうし、それまでのことだしな。  俺みたいに、独りプレイにだけは絶対になって欲しくないしな。  ここは夢の世界『夢想幻国』、彼女にも楽しい夢を見欲しいと思った。  そして無垢な笑みを見せている彼女に、俺は心からそう願っていた。
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