パティアからの贈り物

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 見た目で違うのは、職業的な服装だけになる。  ゲームなのだから、リアルと違う身長や髪型に髪の色など、もっと自由に設定するのが楽しみの一つだけど、俺は最初に作ったリツがこの世界で当たり前になっていたので、人族だけは同じ見た目にしている。  それと、フルダイブ型VRで前衛職をするなら、リアルの体系を設定するのが俺は一番良いと思っていたし、実際にその通りだった。  目線の高さ、足取りの長さ、間合い、少しでも違和感があると、紙一重の動きが出来なくなるし、リアルの方にも支障が出てしまう。  獣人で格闘系の『バトルアーマー』のティガを作った時、獣人だからと身長2メートルの筋肉隆々のキャラクターにしたときは苦労した。最終的には『きぐるみを着た状態。』という脳内設定を作ってしまうほどだった。  そして、種族と顔を変えず、更に名前も同じする理由には、ゲーム的に大きな意味がある。  それは『夢想幻国』の住人。所謂『NPC』と言われる、ノンプレーヤーキャラクター達からの対応が同じになることだ。  つまり、好感度や貢献度などのNPCとの関係数値が共有されることになる。  ただ、この事に気付いているのは、多分俺だけかもしれない。  攻略サイトなどに、その情報が載っていないからだ。  部屋の姿鏡で自身の服装を確認した俺は、所持金を確認し、部屋にある共通倉庫から服を作るための素材を取り出し、村の転移ゲートに向かった。  ミサさんの姿が見えなかったので、同時発動の練習に行くと言っていたから、村のクエストかレベル上げに行っているのだろうと思いながら、俺は転移ゲートの前に立ち、強制的に出たシステムボードから『中央都市 アントン』を選んだ。
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