鍵クエスト

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 魔法のシールド系で攻撃を防いだり、バインド系で動きを邪魔したりも有効だけど、再使用時間のリキャストタイムがあるから、緊急的な場面以外は極力使わない。  だけど、安全圏からの後衛職がサポート的に使用するのはセオリーなので、今も『ハイウィザード』の条件スキル『妨害系』のバインドをローズマリーさんが使っていた。  咆哮後の攻撃モーション発動後に合わせてバインドを使ってくれると良かったんだけど、発動前だったので拘束時間が半減している。それでも3秒ほど動きを止めてくれたので、俺はそれに合わせてバルガデスの腹にチャージスマッシュを打ち込んだ。  俺の溜め攻撃に怯むことなく、頭突きを繰り出すバルガデスを横に避け、カウンターの2連撃の蹴り技『ダブルシュート』を放つ。  ヘイト(挑発値)を稼いだ俺に狙いが定まり、追いかけるように体の向きを変えたバルガデスの背中がパーティーメンバーへと向けられる。  後方で待機していたワルドさんとジンロックさんが走りこみ、二人のハンマースキルがバルガデスの足と捉える。  衝撃を受け、一瞬の揺らぎを見せたバルガデスに俺は拳での2連撃『ダブルスマッシュ』を打ち込み、通常攻撃の連打でバルガデスの攻撃対象を自身へと固定させる。  体長4メートルの巨体の足元で、前衛の3人が攻撃をしているので、後衛職二人は胸から顔を狙って、光の矢『ライトアロー』を打ち続けていた。  マークエンスさんは一切の攻撃を諦めてもらい、後方から目の色の変化を常に監視してもらっている。 「ガァアアア!」  唸り声を上げて、低い姿勢になるのが突進系攻撃の合図。 「突進来ます!」  周囲へと叫んだ俺は後方へと大きく跳躍し、バルガデスから離れる。そしてジンロックさんが馬を呼びローザストさんに向かって走るのを確認する。  俺は突進開始のタイミングに合わせて、バルガデスの右に大きくサイドステップをして回避した。  一回目の突進攻撃の標的はワルドさんだったようで、真っ直ぐに一度突進してから反転し、ワルドさんに向かって行く。 「なっ! 俺かぁー!」  ワルドさんなら防御力とHP(体力量)の高さで、3回追突されたとしてもHPが無くなる事はない。 「えぇー!」  バルガデスの突進で、盛大に吹き飛ぶワルドを見たローズマリーさんの叫び声。  ワルドさんは回避する事ことよりも、抵抗なく突き飛ばされてダメージを流す事で、バルドガスの突進攻撃に耐える。 「ワルドさぁああーん!」  2度目の突進でも、盛大に吹き飛ぶワルドさんに、ローズマリーさんはまた声を上げる。 「・・・」
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