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パラディンの専用スキル『ミラーシールド』は、全ての魔法攻撃を反射する盾。俺はその盾で開いた口を塞ぐように両手で押し当てる。
それと同時に、防御系称号『ガーディアン』のスキル『アトラス』で自身の物理と魔法防御力を2倍に増幅させる。
黒い光が俺の視界を奪い、一瞬で闇の中に取り込まれる。
そして大きな爆発音が洞窟に響く中、HPの殆どを失った状態で俺は吹き飛ばされていた。
「りっ! リツさぁあーん!」
「リツ! 大丈夫かぁ!」
叫ぶローズマリーさんとワルドさんに腕を上げて大丈夫だと答えた俺は、自身にヒールをかけながらバルガデスへと走る。
「攻撃を!」
俺を心配して視線を俺に向けているパーティーメンバーに、ブレスの暴発で俺と同じようにダメージを受けたバルガデスが、ブレス後の硬直時間に移っている事を皆に伝える。
後衛からの『ライトアロー』がバルガデスに被弾する中、俺は体勢を整えて戦闘を再開する。
「サンクチュアリ!」
硬直中のバルガデスに攻撃を再開した俺は、攻撃スキルの全てを打ち込む。
前衛で、距離的に戻れたのはワルドさんだけだったので、二人で攻め続けた。
後衛からの追加ライトアローも加わり、バルガデスのHPは2割を切った。
硬直が解除されたバルガデスは、再度突進攻撃を始めようとしていた。
「ローズマリーさん! バインド発動準備! 目標後ろの足!」
俺は、魔法の発動待機で見せるオートモーションの右手を上げる動作をする。俺は杖を持っていないので、人差し指を立てて見せていた。
これは、事前に話していない事だった。
タイミングがシビアで初見では難しいと思ったからだ。
だけど、復活魔法の『リバイヴ』の再受付時間が10分後。この攻撃が暴走だったとして、もう一度ローズマリーさんが倒れたら、死亡中はドロップアイテムが入らないから、9分間を逃げ回る事になる。
それだと、唯一リバイブが使えるローザストさんが倒れてしまうかもしれない。
仮にバインドが失敗になったとしても、丁度傍にいるジンロックさんの馬に乗せて貰えばいい。
だから俺は、試しにチャレンジすることにした。
俺はバルガデスが深く沈み込む一瞬に合わせて、腕を振り下ろしながら叫ぶ。
「撃てぇ!」
「バインド!」
バルガデスが走り出す瞬間、後ろの足が地面を蹴った瞬間にバインドの黒い鎖が絡まる。
発動が早ければ、バインドの効果を難なく引き剥がし走り出すし、遅ければ捕まえる事が出来ない。
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