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足が地面から上がった瞬間だからこそバインドが成功し、バランスを崩したバルガデスは突進攻撃を中止する。
大きく転んだりはしないが、攻撃をキャンセル出来るのは大きい。
「やっ、やったぁー!」
ぶっつけ本番で成功した事に歓喜しているローズマリーさんに、俺は戦闘中だけど笑い声が漏れる。
バインドが成功して攻撃をキャンセルさせられると、地団駄の行動をとったバルガデスがブレスのモーションに移る。
「レッド!」
ブレスの予備動作を覚えたマークエンスさんが、俺が叫ぶ前に指示を出していた。
俺はシャインバリアを発動し、ワルドさんと前衛に残る。
このブレス後の硬直で倒しきるつもりだ。
後方の彼らも4人集まってシャインバリアの重ね掛けをしている。
「ワルドさん。なんとか勝てそうですね。」
「ああ、さっきのは焦ったわ。」
「リバイヴを発動してたから、シャインバリアが間に合わないと思って。」
「なるほどな。」
俺は、後方でバリアの中に集まっている依頼者達を見る。
「初見でここまで動けたのは、良いセンスですよね。」
「あいつらの事は、知り合いから頑張ってきたと聞いている。」
範囲ブレスが終わり、硬直に入ったバルガデスに最後の攻撃を叩き込む。
そして、走り込んで来たジンロックさんも加わり、硬直時間内に全てのHPを削り取った。
《異界の暴竜バルガデスの討伐に成功しました。》
《暴竜バルガデスの消滅により、この空間は60秒後に消滅します。》
鍵クエストでのボス報酬は『クリスタルオーブ』限定の6個で、今回はワルドさんの称号効果で2倍になった12個がシステムウィンドに表示されている。
俺はそのすべてのオーブの『譲渡』ボタンを押して、依頼者達の4人を改めて見ると、勝利した喜びを分かち合う姿がそこにあった。
毎日のように一緒に遊ぶ仲間っていうのは、チームメイトのような絆が生まれる。
この世界で出会った者同士なら尚更。
あの人達は元気だろうか…
一瞬のブラックアウト後、俺達は街の広場に戻っていた。
「おつかれさまでした。」
俺は、ジンロックさんに野良PTでの挨拶の言葉を告げる。
「おつかれさまでした。ありがとうございました。成功報酬の10万をお渡しします。」
《ジンロックさんから取引要請が届いています。》
PT中のメンバーとのアイテムトレードは『取引ボード』使わずに直接出来るので、通知ウィンドを開いた俺はシステムボードを開いて対応する。
《取引に同意しました。》
《取引が正常に行われました。》
《100.000ルゼを受け取りました。》
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