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アリスティアラ
ギルド名 『WONDERLAND』
そのギルドマスターを務める私は、ギルドホームの中にあるクエストゲートから駆け足でギルドホールに向かっている。
ギルドホールにはギルド専用の転移ゲートがあり、各町の転移ゲートと繋がっている。
私はマスターとしてホール内をウロウロする訳にはいかないので、ゲートを見下ろす事ができる2階のラウンジで待つことにした。
「あの子達、無事にクリアしたのかしら…」
鍵クエストの増援を頼まれたけど、丁度ギルドクエストの最中で誰も行けなった事に、私はギルドマスターとして声をかけなければならない。
「インクリー持ちの知り合いに依頼したと言っていましたし、あのメンバーでは少し厳しいでしょうね。」
執事服を着た50代くらいに見える彼の名はフォレスト。彼は現実でも私の執事で、いつも支えてくれる頼もしい人で、このギルドのサブマスターを務めている。
「そうですね。パラディンかバトルアーマー辺りで腕がいい人が見つかったとしても、五分ってところよね。」
私は帰って来る彼らに、労いの言葉を考えていた。
「ただいまぁ~!」
ギルドホールに、待っていたギルドメンバーの一人、ローズマリーさんの元気な声が響く。
「ジンロック、どうだった? 成功か?」
「お前らどうだった?」
私と同じように気になっていたギルドメンバー達が、帰ってきたばかりでまだゲート前に居る4人に声をかけている。
「成功しました。もう凄かったです。」
ジンロックさんの返答で、ホールの中は歓声の声が広がっていく。
「よかった。成功したようね。」
声はあまり聞こえなかったけど、喜び合うギルドメンバーを見た私は肩の力が抜け胸を撫で下ろしていた。
笑顔でギルドメンバーからの祝福を受けている4人に、私は言葉をかけるためにラウンジから出て、階段を降りて行く。
「手伝ってくれたパラディンが、範囲ブレスっていうのでしたっけ、それをミラーシールドで口を塞いで爆発させたんですよ!」
興奮気味で話をしているジンロックさんの声が聞こえてくる。
「まじかそれ。そんなことしたら、自分もやばいんじゃないのか?」
「耐えてました。それで、直ぐに自分で回復して殴りにいってたんですよ。」
「どんなやつだよ! 凄すぎるだろ。」
「それから、突進攻撃のキャンセルの指示も凄かったんですからっ!」
ローズマリーさんの言葉に、一部のメンバーが静かになっていた。
もちろん、私もその一人だった。
「突進のキャンセルってあれだろ? バインド系を足に当てるやつだよな? 指示ってどうやって?」
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