アリスティアラ

1/15
前へ
/110ページ
次へ

アリスティアラ

 ギルド名 『WONDERLAND』  そのギルドマスターを務める私は、ギルドホームの中にあるクエストゲートから駆け足でギルドホールに向かっている。  ギルドホールにはギルド専用の転移ゲートがあり、各町の転移ゲートと繋がっている。  私はマスターとしてホール内をウロウロする訳にはいかないので、ゲートを見下ろす事ができる2階のラウンジで待つことにした。 「あの子達、無事にクリアしたのかしら…」  鍵クエストの増援を頼まれたけど、丁度ギルドクエストの最中で誰も行けなった事に、私はギルドマスターとして声をかけなければならない。 「インクリー持ちの知り合いに依頼したと言っていましたし、あのメンバーでは少し厳しいでしょうね。」  執事服を着た50代くらいに見える彼の名はフォレスト。彼は現実でも私の執事で、いつも支えてくれる頼もしい人で、このギルドのサブマスターを務めている。 「そうですね。パラディンかバトルアーマー辺りで腕がいい人が見つかったとしても、五分ってところよね。」  私は帰って来る彼らに、労いの言葉を考えていた。 「ただいまぁ~!」  ギルドホールに、待っていたギルドメンバーの一人、ローズマリーさんの元気な声が響く。 「ジンロック、どうだった? 成功か?」 「お前らどうだった?」  私と同じように気になっていたギルドメンバー達が、帰ってきたばかりでまだゲート前に居る4人に声をかけている。 「成功しました。もう凄かったです。」  ジンロックさんの返答で、ホールの中は歓声の声が広がっていく。 「よかった。成功したようね。」  声はあまり聞こえなかったけど、喜び合うギルドメンバーを見た私は肩の力が抜け胸を撫で下ろしていた。  笑顔でギルドメンバーからの祝福を受けている4人に、私は言葉をかけるためにラウンジから出て、階段を降りて行く。 「手伝ってくれたパラディンが、範囲ブレスっていうのでしたっけ、それをミラーシールドで口を塞いで爆発させたんですよ!」  興奮気味で話をしているジンロックさんの声が聞こえてくる。 「まじかそれ。そんなことしたら、自分もやばいんじゃないのか?」 「耐えてました。それで、直ぐに自分で回復して殴りにいってたんですよ。」 「どんなやつだよ! 凄すぎるだろ。」 「それから、突進攻撃のキャンセルの指示も凄かったんですからっ!」  ローズマリーさんの言葉に、一部のメンバーが静かになっていた。  もちろん、私もその一人だった。 「突進のキャンセルってあれだろ? バインド系を足に当てるやつだよな? 指示ってどうやって?」
/110ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加