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フォレストさんの言葉で、私はローズマリーさんの両肩を掴んで、揺すっていることに気付きました。
「あっ、ごめんなさい。」
私は両手を離し、深呼吸を一度して気持ちを静める。
「えっと…狩りに行くって言ってました。あと、17時から待ち合わせ? みたいな事も言ってました。 ジン、合ってるかな?」
「ああ、合ってる。待ち合わせの方は、新規プレイヤーに服をプレゼントする話だった気がします。」
私は考える。
あいつの手がかりになる情報に、ふつふつと湧き上がる気持ちを抑えながら、私は考える。
17時に新規プレイヤーと待ち合わせ。ってことは『アントン』の何処かで、ってことよね。
目印的には、転移ゲート前か…冒険者組合。でも人が多いから、確立は高くないわよね。
そもそも…この時期に新規プレイヤー? そんながいるのかしら…
まあ、いると仮定して…その新規プレイヤーを探した方が早そうね。
服をプレゼントって事は、初心者装備ってことだろうし…
「アリスティアラ様? あの、パラディンさんとお知り合いなのですか?」
ローズマリーさんを筆頭に、ギルドメンバー達が私に視線を向けていた。
「いえ、そのパラディンの中身が、知っている人かも知れないってことなのです。もしそうなら、そのパラディンの別キャラに、大変お世話になっていましたので。」
昔を思い出した私は、また湧き上がる気持ちを抑えることになった。
「でしたら…ワルドさんなら、ご存知だと思います。紹介してくれた人ですし、二人で狩りに出かけている話もしていましたので。」
「ワルドさん?」
「インクリー持ちのドワーフですよ。こいつらが世話になっている鍛冶店の店主です。まあ、俺が紹介したんですけどね。」
答えたのは、ギルド結成時の初期組みで、加入者の面倒をよく見てくれている、獣人族で虎のシュータさん。
「フォレストさん、それと…あなた達の誰か、一緒にそのワルドさんの店まで来てくれないかしら。」
「じゃあ、俺が。」
「私も、行きたいです。」
ジンロックさんとローズマリーさんが挙手したので、私は二人に頼むことにしました。
「皆さん集まって、何事ですか?」
別のギルドクエストに出かけていたメンバーがギルドホールに戻ってきたようです。そして、声の主はメイド服を着た紫銀髪のエルフで、彼女もフォレストさんと同じサブマスターで、現実でも私のメイドを務めているアイリスさん。
「おかえりなさい、アイリスさん。もしかしたら、テルの別キャラかも知れない人が見つかったの。だから、今から探しに行くところよ。」
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