アリスティアラ

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 ジンロックさんがメールを打ち終わったので、私達は店から大通りに向かい、冒険者組合に向かうことにしました。 《アイリスからコール申請が届きました。》  私はシステムメニューを開き、点滅している受話器マークをクリックし、手元に現れた受話器を取る。 「はい、アリスです。初心者の人を見つけましたか?」 《いえ、直接見つけたのではないですが、それらしい人物の情報を得ました。》 「そうですか。こっちは後日に面会する段取りをとることにしました。今、中央広場に向かってるから、合流しましょう。」  中央広場に隣接する大きな建物のラウンジに私達は集まっている。  ホテルのロビーのようなソファが並んだ場所やエントランスのような広間があるこの施設は、今度のアップデートでレストランに変わると告知があり、味覚実装で飲食も出来る様になる事に、私は凄く期待している。  外が見える窓際の席を選んだ私は、窓の外を気にしながらフォレストさんとアイリスさんの報告に耳を傾ける。 「アリス様、人族で初心者装備の女性を5日前に見かけたという目撃情報が多数ありました。ですが、ここ数日はまったく見なくなったとのことです。」  アイリスさんの報告に私は気落ちするしかなく、今日は諦めるしかないのかと思い始めた時、 「初心者装備の姿でしたので声をかける男性も多く、目立っていたようで多くの人が、ナンパされている彼女を目撃されています。そのどれもが怯えているような、困惑しているような姿だったらしく、逃げるように転移ゲートで移動したとの事です。」  フォレストさんの興味深い話に私は、自分の立場だったらどうするのかを考えてみた。  新規で始めて、何も判らない状態で、コミュ症…  一旦ログアウトするわね…  で、辞めずに続けたとしたら…私なら…最初の村で頑張ってみる。かしら…  幸いに4月になれば新規プレイヤーが来るのは判ってると思うから、その時にもう一度。って感じかな。 「私だったら、最初の村で4月まで引き篭もりでしょうか。」 「え? アリスティアラ様がですか?」  驚きの声を上げたのはローズマリーさん。彼女は去年の4月に始めた子で、私の事をなぜか『様』付けで呼んでいる。私にはお姉様的なオーラがあるとかなんとか言っていましたが、私はそれが嫌では無かったし、私も妹のような彼女に親しみを持つようになってた。 「私じゃなくて、人見知りで新規者としての行動を取るとしたらって意味ですよ。」 「そうですよね。アリスティアラ様は、そんなナンパに気後れするなんてこと、ないですよね。」 「もちろんよ。軽くあしらうわよ。」
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