夢見る世界

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 俺はその攻撃を予測していたからこその、飛び上がるという初手を選択していた訳で、そのまま落下しながら『ミカヅキ』を振り降ろし、白竜の背中にダメージを与える。  そしてクリティカルヒットで怯み動作をしている白竜に、俺は剣を向けた。 「それじゃあ、白竜パティア。全力で遊ぼうか。」  その場で暴れるように攻撃を繰り返す白竜相手に、俺は加算されたステータスと回避スキルによって無傷でダメージを与え続ける。そして範囲魔法攻撃はバリアで防ぎ、それぞれの称号が持つ強力なスキルを駆使して、圧倒的な力の差を見せつける。  ソウルオーブの重ね掛けすごいな。  勿体無くて全然使えなかったけど、これは楽しい。  まさに一騎当千! この為だけに経験値稼ぎするのも悪くないかもな。  余裕が出来ていたので、俺は後ろの神殿を振り返りミサさんを確認する。  称号『スナイパー』のスキル『スナイプ』を使って、ミサさんが祈りを終えて鉢の中に『ヴェルレインの花』があるのが見えた。  重装備の人間と獣人が増えているから、あれがあいつらのタンクか。  まあ、もう俺には関係ない事だしな。  俺は、時間までに『白竜パティア』を倒すだけだ。    白竜の頭上に見える残りゲージは既に2割を切っていた。 「すまないパティア。花見の時間を邪魔して悪かったな。」  咆哮を上げて答えたパティアに俺は意識を合わせ、全神経を向ける。  それから1分ほどで、大きな咆哮を響かせながら倒れる白竜が最後に俺へと視線を向けた後、閃光と共にその場から姿を消した。 《フィールドボス『白竜パティア』は力を使い果たし、転移しました。》  強制的にドロップアイテムを通知するウィンドが目の前に立ち上がり、俺の前には宝箱の画像が20個並んでいる。  レイドボスなどのドロップ品はパーティーメンバー内でルーレットが1個ずつ行われ、一番大きい数を引いた人が勝者となって、アイテムがインベントリに移動する。  なので、この宝箱の表示はミサさんにも出ている。  俺は全ての宝箱のチェック項目の『譲渡』のボタンを押す。  当然二人しか居ないので、無条件でアイテムはミサさんの『インベントリ』に入っていく。  俺は、システムメッセージを見て困惑しているミサさんのうろたえた姿を確認しつつ、討伐されて不機嫌になっている男達や、呆けている者達もついでに確認していた。  まだソウルオーブの効果が残っていたので俺は馬を呼ぶことはせず、移動スキルを使って神殿まで戻る。  もちろん、装備は『探検家』に戻していた。
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