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G10開催
意外ってほどじゃない。勘解由小路は、待合ロビーのソファーに座った友達に告げた。
「あいつは、ケレンスキーって男は、意外なほど軍事的野望を持たない。俺が議員になって、最初にやったのが、世界の政治的指導者の身体検査だった。とかく東欧ってのは、そういう手合いが多かった。ルーマニアのチャウシェスクしかり、チェチェンのカディロフしかり。だが、ウクライナのケレンスキーは、俳優上がりの割にクリーンな奴だった」
ジョナサン・エルネストは、ミタムラさんが持ってきたカフェオレを飲んで言った。
「あれだろ?あのエルフ大統領、まるっきりうちのエマニュエルみたいだ。ああアリエールの母ちゃんで、匂いをキーに記憶を操作するって厄介極まりないおばさんだ」
「ふうんそうか。まあ美人の宿命って奴だ。いざとなったら、国民総員火の玉でロシアに向かっていくと思ったが、意外なほど侵攻は止まり、貿易も始まった。お前が提供したアカデミーの土地のお陰で、難民も500万人が落ち着きつつあるし。やっぱりあれだな?ファンタジーワールドなのにWi-Fiフリーってのが大きい。まあ、完全無料も今だけだろうがな。ヘタすると、ウクライナ人がアカデミー人と結婚、子作りして一気に人口が爆発するかもしれんしな」
まあ、ここんところ多いな。そういうケースが。
「アカデミーとしては、今後も難民の受け入れを表明しよう。家建てないと。ここんところ忙しいのに、俺を担ぎ出したな?お前は」
「気にすんな。友達だろう?俺達」
本来、友達と政治は分けて考えるべきなんだろうが。
「ダーリン!始まるわよ!さっさと来い愛人!」
「ああ、うるさいのを呼んだな?」
「セントラルの女王はいた方がいい。お前は中央大陸の国の王だろう?」
「ああそうだった。またな?」
「ああ。コッソリ愛人の尻を撫でていろ」
撃つぞお前は。そう呟いて、ジョナサン・エルネストは、アースツーサイドとして合流していった。
さて、ジュネーブで一席打つか。
新たに、アースツーのセントラルとアカデミーを含めたG10の会合が、ジュネーブで開かれようとしていた。
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