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序章 発端
フェアリー・ランドの越中と呼ばれたけったいな地が存在していた。
越中の中心、奉行インと呼ばれる宿屋の地下深くに暗い牢があり、そこに幽閉されていたアラグリエン、濃姫を名乗るシティーエルフの女は、血走った目でスプーンで土壁をザクザク掘っていた。
妾を誰と思っとんじゃあああああああああああああああああああああああああ!!シティーエルフの姫君であるぞおおおおおおおおおおおおおおおおおう!!
今!ラドウィックのカスは馬糞女としっぽり?!この妾を放って?!ボテ腹ファック?!殺したらああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!馬糞もガキも!皆殺しじゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!おらあああああああああああああああああああああ!!
スプーンで固い岩盤をザクザクやっていた。
当時、奉行インの隣の上空には、風雲降魔さん城と言うクソけったいな物件がフヨフヨ飛んでいた。
妖精奉行、ヘイデン・クリストファーが泣きながら越中奪還戦をやる羽目になり、付き合わされた越中の連中もそれにつきっきりになってしまい、誰も、先の第二次シティーエルフの乱の首謀者に注意を払っていなかった。
激しい殺意を吐き散らしながら、スプーンの先端が、遂に壁をくり貫いていた。
スプーン1本で牢を破った濃姫は、おかしな空間に入り込んでいた。
「臭。何よこれは?」
強い獣臭とごうごうと言う奇妙な呼吸音がした。
真っ暗な空間を這うように進み、濃姫は、ぶにゅんと言う分厚い肉の塊を踏んづけてしまった。
「ぶごう!」
え?何これ。これ馬糞の子供?
ならもっと蹴ってやろう。
ジャンプして思いっきり踏んづけた。
あ?何を?何怒ってんの?
「ぶろぶろぶろぶろ!もろもろもろもろもろもろ!!」
そして、越中みんなで集まって、「帰ってくださいよう!」ってお願いして、許してもらってああよかったー。馬鹿一家が帰ってくれてさー。とか言い合いながら奉行インに帰り、「ああカトブレパスに餌っこくれてねえだ。レンゲ、頼むだよ」
ってなって、レンゲがカトブレパスの洞穴に入ってそれを発見した。
カトブレパスにちょっかいをかけた馬鹿は、カトブレパスに踏み殺されていた。
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