戦場のオルガニスト

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戦場のオルガニスト

おい。メッセージを受け取ったG10の異世界アースツー分類国の国王は、PCでがなるおっさんだった女を見つめて言った。 「あれ、サクラさんにマウントでボコられてたエルフだったよな?アラグリエンだか濃姫だか言われてた」 「そうだ。それでボコにされて地下牢に放り込まれてたんだが、何故か脱獄未遂起こしてカトブレパスの巣穴に迷い混んだ。先日、土下座開城してマコマコと三つ子と帰ろうとしたら大騒ぎになってた。まあ逆賊は逆賊だが、幽閉中の捕虜が事故死したのは不味いってなって、ちょうどケレンスキーが死んだんで、ちょうどよかった。俺が最近使う死んだ何かに転生させるってのがあったんだが、うん、おっさんが死んだエルフに転生することになった。要するにベムラーが悪い」 全部ベムラーの所為にされていた。 「うおおおおい!お前かやったのは!お陰でおっさんロシアにキレてたがな!世間じゃキレたエロエルフ降臨!ってなってんだぞ!」 「マジ?こんなご褒美あんの?俺もウクライナにミサイル撃ち込めばよかった」 「いくらキレてても、あんなグウシコエルフだぞ?ウクライナどうなってんの?」 「今後、ウクライナの大統領にはビキニ着用を強く求める。着てくれれば全財産ウクライナに軍事支援する」 茉莉がネットのコメントを抜粋して読み上げた。 「ほらな!ネットの意見こんなんだぞ!責任取れゴーマ!」 「そりゃあそうかも知れんが、実際ウクライナ人は死んでる訳で、どうしようか?」 話は聞かせてもらった。と言わんばかりに正男が疲れて眠った水色を抱いて帰ってきた。 オランダまで行って、すれ違いざまにストーカーを切り裂いて帰ってきていた。 「携帯で騒ぎ見たぞ。お前しかこんなことせんだろうが。無精髭のおっさんをエルフなんかにしやがって。だが、お前はどういう訳か、残念ながら敗戦国日本の防衛大臣だろ?お前がロシアにちょっかいかける気か?お前の行動が、第二次日露戦争の引き金になんだぞ?」 渡された水色を抱いて、ニッコリ笑って父ちゃんは言った。 「うん?サンクトペテルブルグとかスターリングラードを死んだドイツ兵で埋め尽くすとかなら簡単だぞ?スツーカの大編隊とルーデルをモスクワ上空に解き放つことも出来るが」 「だから!それやったら国際問題になんぞ!お前がミカボシ事件で(ヤハウェ)をテロリスト扱いしただろうが忘れたのか?!」 「おうそうだった。G7でこの世界は神に屈しないって共同声明出してたな。現総理(川辺)の奴が。そうか、俺は動けんから、正男行ってこい。ジョナサンは相変わらずストーカーを一家でクンクンしてろ。ライフルしまえってだから」 まあ、正男とてロシアのウクライナ侵攻は好むところではない。 特に、子供が傷つくのは許容出来なかった。 それから、どうなったと言うと。 キーウに侵攻したロシア軍は、キーウの道路上で、けったいな光景を見た。 無言で、オルガンを弾いているおっさんの向こうに、数千人のウクライナ人が普通に座っていた。 ロシア人でもこいつが誰か知っていた。 世界の救い主、INORIのマサオ・シロガネって日本人(ヤポンスキー)だった。 路上でひたすらオルガンを弾く日本人を撃つ訳にはいかなかった。 たとえ、その道の先に大量のナチスト(ウクライナ市民)がいようとも。 侵攻は30分停止し、遂に、戦場のオルガニストに、8発の戦車砲が撃ち込まれたが、爆音の衝撃が晴れた先には、相変わらずオルガンを奏でるおっさんの姿があった。 戦車砲が効かないなら、次は爆撃だとばかりに、マサオ・シロガネにミサイルが撃ち込まれたが、それすら全く効いていなかった。 地上最強の人化オーガにミサイルが効く訳ないだろうが。 日本の防衛大臣がツイッターに呟いた。 更に、南方から侵攻を開始した、黒海に展開したロシア艦隊は、不可思議な、黒海周辺にだけピンポイントで発生する、異常な暴風雨に晒されていた。 「ご主人様は小さな子供を(なみ)するお方ではないが、そろそろ役に立たねば、龍神の沽券に関わる。死力を尽くせ。かつての諏訪湖のように。父上、いや、炎雷(ほのいかずち)童子」 「役に立たねば奥様に石にされる。奥様に石にされる。奥様に石にされる。奥様に石にされる」 ガッタガタに震えた、諏訪様の転生である幼い龍神炎雷童子が、ロシア艦隊を1人で沈めていった。 魔上皇勘解由小路降魔が招聘したお隣さんとメイド姉弟の登場で、既に露軍は完全に停滞を余儀なくされていた。
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