民意の行方

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民意の行方

ちょうどその頃、世界中で、SNSは、ハッキリ言ってゲキバズっていた。 ウクライナのアスラン・ケレンスキーのツイッターのプロフィール画像は、物憂げなエルフの横顔写真が貼られていて、要するにそれ以上の説明は要らなかった。 エルフのメッセージが放映された直後、ケレンスキーのSNSのフォロワーは20億を突破、恐ろしいことに、現在世界に不穏な言動を繰り返す北朝鮮の国家元首ですら、裏アカを利用してケレンスキーのフォロワーになる有り様だった。 当然、日本のネットユーザーの加熱っぷりも凄まじく、ケレンスキーが歩く姿が放映されただけで、影チューブの再生回数は、1000億回を越えた。 そこら中にネット写真がばら蒔かれ、左のペロエルフ、右のプーティン、どっちを選ぶ?と言うサイトが立ち上げられ、プーティンはプーティンコと呼ばれるようになった。 戦争と言うのは、一見一方的な善悪で語れない。 戦争はいい国と悪い国がしているという考えは、小さな子供の夢物語にすぎないと言う現実は、生きたエルフと言う明確な回答を越え、無事世論はプーティンコ死ね。で纏まってしまっていた。 まあ、そうなるよなあ。そんなことを考えながら、銀正男は今日、15発目のミサイルを撃墜していた。 いや、取り立てて攻撃行動には移ってねえんだよ?勘解由小路にも、戦うなって言われてたし。 ただ、赤い光線になって、ミサイルの隣をすれ違っただけだしよ。 戦車?あれ何の役に立つの? 何か、俺ごと市民殺そうとしたけどよ?混元傘mk-2で防いだから全く効果ねえぞ? しかも、オルガンの前に混元傘mk-2分裂させて道塞いだら、詰まって身動き出来なくなって、市民が作ってた火炎瓶放り込まれてたし。 あ!危ねえ! 恐ろしく速いミサイルを、混元傘mk-2で受け止めていた。 爆発の衝撃で、30センチほど空中でたたらを踏んだ。 ありゃあ、ロシアの最新型ミサイルか?今日で、俺に幾ら使ったんだろうな? 全く効かない攻撃が多重に集中していても、怪我1つないのが冥王のマブダチ、銀正男だった。 更に、民意が最高潮に達した時、絶対に戦ってはいけない男が、ウクライナの土を踏んだ。 遂に、冥王ハデスが、ウクライナに降臨したのだった。
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