ロビン

1/4
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
俺には大切な兄弟がいる。ただし、兄弟と言っても、血は繋がっていない。その代わりにそれより強い絆で結ばれている。 兄弟の名はロビン。森のみんなに好かれ、リーダーをやっていた。俺より20cm以上小さいのに負けずに向かってきて、俺以上に立派な弓の技術を持っているのを見せつけられたのが兄弟となった理由だ。 その貪欲な強さは尊敬に値する。それに、頭も回るかっこいい男だ。 今はその実力を認められて、獅子王ことリチャード王の元で働いている。俺も一度はロンドンで働いたが、肌に合わず、結局戻って街に住んでいる。 そんなある日、リチャード王が死んだ、という話が流れてきた。戦死したようだ。 つまり、トップが変わったということになる。実績から見てもヘンリー2世のように敵視はしないにせよ、リチャードだからロビンは仕えていたわけで、彼がいなくなった今、ロンドンに残る必要はなくなった。帰ってきてくれないだろうか、なんて少し考えていた。 すると、遠くから笛の音がする。昔、ロビンが吹いていたのと同じ音色だ。 もし、違ったらそれでもいい。帰って来てくれていたら嬉しい、そう思いながら音の元へ向かった。 そこには歳を重ね、そして、戦争で鍛えられたのかひとまわり大きくなったような気がする、でも、昔のままの空気をまとった美男子が笛を吹いていた。 「ロビン!」 目を伏せて吹いていた美男子は笛を下ろし、顔を上げてこちらを見る。 「リトル・ジョン、久しぶりだな」 「帰って来たのか?!」 「ああ、リチャードが死んで、無能な弟に王座が渡ってしまったから休暇と言って帰ってきた。でも、ロンドンに戻る気はない」 「じゃあ、また一緒に暮らせるんだな!」 「もちろんだ。またよろしくな」 「こっちこそ」 昔と変わらない友人の挨拶?握手?を交わし、ハグをして再会を喜び合った。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!