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一寸先は闇だった。
宇宙客船で旅行していた家族づれの乗客たちは、航海中に客船が座礁し、見知らぬ星に投げ出されてしまい、生存者はいない、と思われていた。
「誰かいないの。返事してお願い!」
声高な少女の声がうっそうと生い茂る密林地帯に響き渡る。
「生きてるのは、私たちだけ、ご飯とお水はもうないし」
生存者の一人タバサが空のリュックをガサガサと揺らす。
「船の中はめちゃくちゃだよ、どこにも助けは呼べない」
煤だらけの少年が船から咳き込みながら現れた。生存者の一人ウタウだ。
「僕たちだけで協力して生きていかなきゃね」
生存者の一人ヨッピーは船の残骸を見上げる。ひどい有り様だ。
「食べられる植物とか動物がいてくれるといいんだけど、それから水も必要だよ。喉がカラカラだ」
最後の生存者、ホンノは密林の草むらをガサゴソしながら食べられそうなものを探すが、この星の植物は地球外のもの。地球の人間が食べられるか、わからない。
「お野菜か果物がいい、私、猛獣と戦うの苦手だから」
「兎や鼠なら小さいから、ミズキちゃんでも大丈夫だろ」
「可愛いからダメよ!殺せないんだもん!」ミズキは、果物をご所望のようだ。
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