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家庭教師のアルバイトは正直めんどくさい。課題をちゃんとやっといてくれるかわからないし、親に直接会う機会が多いから厄介ごとも多いし。でも、バイト代が高いから他のバイトやるより割がいいし、仕方ない。
そんなふうに考えていた。
彼と出会うまでは。
「今日から担当します。柳臨也といいます。よろしく」
「よろしくお願いします!柳先生」
彼の名前は刈田海人くん。高校2年生で大学をどこにするかはまだ決めていないけれど、今のうちに勉強はして、基礎を固めておきたい、とのことだった。
若干のくせっ毛、大きな目、一生懸命そうな様子、俺より5センチほど大きい身長を除けば可愛いと言えそうだ。
最初はちゃんとやっておいてくれるか、とかを心配していたが、毎回ちゃんと言っておいた分はしっかりやっているし、分からないことがあったらしっかり聞いてくれるタイプだ。
その上、お母さんがおいしいお菓子や飲み物を邪魔にならない程度に差し入れてくれて、あとは口を出さないため、環境はかなりよかった。いや、最高と言ってもいい。
その最高の環境を俺は今、失おうとしている。なぜか、というと完全に俺の事情だ。
その日のおやつ休憩では文化祭の話をしていた。そろそろ開催される時期で準備が大変だとか、ちょっと懐かしい気持ちになりながら聞いていた。その話題の延長で一年生の時になにをやったのか聞いた。別に変な話題振りではないと思う。彼は、当時は身長小さかったから女装させられたんですよね、と恥ずかしそうに写真を見せてくれた。
幼い、可愛い、エロい、いろんな気持ちがごちゃ混ぜになっていて、なにか、と言ったらそれはたぶん衝動というのが一番近かった。とにかく、年下の、しかも、男の子を見て抱くべきものではないことだけは確かだった。
その日のそのあとの記憶はほぼないが、特になにか言われた記憶もないことから、それなりにちゃんとやれていたのだろう。
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