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しかし、ここまではまだいい。当時の彼の姿はまだ中性的であったし、疲れていたから、ということで、片付けられる。
問題は、全く同じ服装、しかし、今の姿の彼が夢に出てきたことだ。身長は高いし、そこら中骨ばっている、どこからどう見ても男だ。そんな彼と文化祭デートをして、キャンプファイヤーして、キスをしていた。
今の、俺より背が高い彼を、性的な目で見れてしまっていることに気づかされたのだ。これがエロマンガで、相手が女の子だったらそういう関係になるのだろうが、あいにく、これは現実で、彼が3つ下の男の子である事実は変わらない。こんな感情が自分に起こるなんて思いもしなかった。
悩んだ挙句、学業が忙しくなったから他の人に変えてほしい、それまでは自分が担当する、と連絡をした。とても本当のことは言えない。
すでに親から聞いたかと思いながら、申し訳ないけど擔當を外れることになったと告げた。
大きな目に涙を浮かべていた。
「柳さん、僕のことわずらわしくなったんですか?」
「そんなことない。単に俺が両立が下手くそなだけ」
正直、泣き顔はムラッと來るので、顔を見ないようにした。
「噓です。だって、顔見てくれないですし」
「……泣かないなら見るよ。俺、泣き顔苦手なんだ」
「じゃあ、むしろ、見てください」
ぐいっと無理矢理そっちに向かされた。
大きな目から溢れる涙はきれいで、少しの罪悪感と俺のために泣いているという優越感、見てはいけない顔を見ている背徳感。だめだ、可愛い。
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