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窓の外は、木がほとんどを占めている。
ここに来てから、もう5日になるっけ……
この館はかなり広くて、掃除がまったく行き届いていない。だから引っ越して来たばかりのころは、部屋の扉を開ける度にコウちゃんと一緒に咽せていた。
住んでいるのは、アタシとコウちゃんだけ。
この5日間、アタシたちは面白い話で盛り上がったり、一緒に屋敷を探検したり、コウちゃんが買い出しに出て行くのをアタシが窓から見送ったりして、満喫してきた。
「レモンちゃん……ボクのこと……まだ怒ってる?」
顔を前に戻すと、コウちゃんがストレートティーの入ったコップを手に、心配そうに眉をひそめていた。
ブレザーに赤いリボンをつけた制服の上で、ショートヘアーがかすかに揺れている。
コウちゃんは、素直な子だ。
彼女の手元にあるストレートティーのように、混ざったものがない素直な心を持っている。
「だからさっきも言ったじゃん。もう怒ってないよ」
「そっか……うん……」
コウちゃんはゆっくりと、うつむいた。
なにをしているのかなって観察してみる。
コウちゃんは、自分の顔を見ているんだ。
ストレートティーに映った、自分の顔を。
「あのね……レモンちゃん……」
まるで振り絞るような声を、コウちゃんはアタシに届けた。
「ボク……部屋の片付けが……苦手……なんだ……」
そして、その声は自信が溶けていくように小さくなっていった。
「さっきも聞いたよ。でも、本当にごめんね。そうとは知らずに無理に片付けようとしたから」
「うん……え!?」
あはは! すっごいびっくりしてる! コウちゃんの顔!
顔に出すまでもないけど、なんだか、心の中では笑いたかった。コウちゃんの驚いた顔を見て、学校でよく見せていた表情と同じで、確かな安心を得られたから。
「あんなに……汚い声に……なってたのに……」
「ちゃーんと聞こえているってば。それにしても、それってコウちゃんの……」
お父さん。
その言葉が出そうになって、飲み込む。
「……父親さんが、原因?」
コウちゃんは、黙ってうなずいた。
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