コウちゃんとレモンちゃん

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コウちゃんとレモンちゃん

「レモンちゃん……さっきはごめんなさい」  ダイニングテーブルを前にして、ひとりでイスに座って頭を冷やしていると、コウちゃんが部屋に入ってきた。 「いいよいいよ。こっちも言い過ぎただけって。それよりもさ、紅茶、飲まない?」  テーブルの上に出した2本のペットボトルとプラスチックのコップを指さして、アタシは笑みを浮かべる。  お菓子がなくっても、お茶があればお茶会だよね。 「……うん」  やった! コウちゃんが笑みを帰してくれた!  本当にさっきはどうなるかと思ったよ。学生時代からの付き合いだったけど、さっきの大ゲンカ……学校では見たことがなかった……  もうコウちゃんを怒らせるのはやめておこう。 「コウちゃん、ストレートティーとレモンティー、どっちがいい?」 「それじゃあストレートティーで……あ、やっぱレモンティーでいいよ……」  席に座ったコウちゃんは、あと1杯分しか残ってないペットボトルに目を向けていた。   「問題ないよ。そろそろ食料も減ってきたからさ……今度はアタシが買い物にいくね」 「あ、だいじょうぶ……レモンちゃんは……ここにいなきゃ……」  ……やっぱりそうだよね。 「それじゃあコウちゃん、またよろしくね!」 「うん。これでも……おいしいもの見つけるの……得意だよ」  コップにそそいだレモンティーを、アタシは口にする。  ふとコウちゃんを見てみると、横の窓の景色を見ているようだった。
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