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(高崎線)
「この電車は、京浜東北線 大宮行きです。」
慣れないスーツを着て通勤列車に乗っていても、僕の気分は旅人だ。手で数えられるほどの区間だけ乗るというのに、ゆっくりと席に座って窓の外を見ることもできないというのに、一時間もかかるような旅程を、一人ボックス席に座り、キオスクで買ったおにぎりを食べているような…。とても不思議な心地は、趣味の影響だろう。
「まもなく、終点・大宮です。」
青い電車から降りた僕は、昨日と同じ旅先へと向かう。僕の旅は始まったばかり。イヤホンで聞いたボニージャックスの歌声に押されて歩く。
汽笛一声新橋を、はやわが汽車は離れたり
愛宕の山に入りのこる、月を旅路の友として
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