街路樹

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街路樹

著名なシンガーに妬いた。才能に。 気をつけなければいけないのは、彼に対して、争う姿勢を示した時に、その危機感を知る。 気をつけろ、お前は、自分の過去を引け目にして、ずっと、負い目にして生きている。 そんな自分は赦される訳がないと想っているな? リスカを晒したからと言って、簡単に情を、情けをかけるな、そいつは、お前のことを憎んでいない。 影の間伸びした、先に壁が或る。 だが、その長い虚栄の影は、お前の悪夢ではない。 それ、抱きしめていたお前の夢だろ? やりたかったこと、やり切れなかった事、夢叶えられず、ずぶ濡れの雨の中、諦めようとしたその最中でも、お前は、這い上がったハズだ。 その、悔しさは、俺の言う事を聞かなかった、お前の勝ちだよ。 オレの言う事を聞かないほうがいい。 だって、お前の中に住んでいるオレは、お前の事より、自分大事にしたんだ。 ゆきむらだって、お前の今目の前に居る、悪意だって、皆、自分の夢がある。 だがーなんでかな? なんで、そんな夢なんだ? この世界に存在する全ての真実を知りたい。 それどころか、お前の狙いは、全ての人間の殊更、精神病に関してに限らず、全ての、一般人ではなく、異物で在る、知的、発達、自閉、統合、解離性、境界性人格障害者、全てのなんらかの脳に寄る障害を、解ることが使命だと信じた。 それは… 崇高な願いだ。 だが、やめろ。 お前には理解出来ない。 そんな事はオレにさえ、無理だよ。 誰に勝ちたいんだ? オレにか…?参ったな… アア、アンタが好きだ。惚れた。 彼が有名かどうかは、イマイチわからないが、している事は、崇高だった。正直、凛として時雨のピエール中野をピエール瀧だと誤解するぐらい、知らない事を威張る、ガキみたいな、人が、時折、仕事が終わった時に見せた、そのツラ構えが、カッコいいと見惚れてしまった時点で負けだった。 手を怪我に寄り、挫折していた、ベースギター100本を全て棄てたが、舞台照明の知識、技術に特化して、演劇に、劇作家としても、創作している、モノづくりという、崇高なる、職人だった。 憧れだ。 音楽に対しても、造嗜(ぞうし)があり、私は、今の若者が、ジャズに長けている事を、教えてくれたり、感心する、逸話を教えてくれた。 まぁ、頭が上がらない。 結構、地元の演劇界で、少なくとも、自分の短大の英語教師だった人と仲良しだったのは、感嘆した。 こんな傍にビッグネームが!!!! 大袈裟な…と失笑されたが、かなり凄い人だった。 凄すぎて、悪口すら書けない、隙がない。 長けている。 目指す視野を変えると世界は、爽快だと気づく。
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