8 港

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 「お待たせしました父上、只今戻りました」  船のタラップから妻を伴い降りてきたカイル皇太子殿下。  浅黒い肌にチョコレートブラウンの短く切り詰めた髪に長くさらりとした前髪。  サファイアブルーの瞳だけが違っているが、間違いなく血族だなと思わせる風貌である。  その隣にいるのがハイドランジア王国のティーダ―侯爵家から嫁いできた妻であるティリア・トリステス。シンシアの弟である王太子の婚約者候補でもあった為、シンシアも面識はある女性だ。  「よう、お帰り。新婚旅行は楽しかったか?」  「はい、長い間政務をお任せして申し訳ありませんでした」  「うーん、そりゃ大臣とゲオルグに言っとけ。俺は大した事仕手ねえからな」  シンシアの腰にしっかりガッチリ手を回したまま豪快に笑う皇帝陛下。  「お、そうだ。この女性が俺の嫁。シンシア王女な。ティリア嬢は面識もあるだろうから。紹介しなくてもいいかな?」  声を掛けられたティリアは優雅に膝を折りながら  「もちろんですわ。お久しぶりですシンシア様」  「ティリア様も、お元気そうで何よりですわ」  二人でにこやかに笑い合う横で  「あ、そうそうカイル、帰ったばっかでワリイんだが俺、皇帝辞めっから宜しくなッ!」  イケオジが爆弾を投下した・・・
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