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20話 独房の王女様
「困ったわ、どなたもいらっしゃらないみたいだし、私の出来そうな事は何も無さそうだし」
頬に手を当て、ため息混じりに小さく呟きながら眉根を寄せるシンシア王女。
「せめてココがどこが分かればいいのですけど・・・」
引き続き簡素なベッドに腰を掛ける。
まあ、ベッドと言ってもスプリングの効いたマットレスや清潔なシーツがあるわけではなく、ただの木のベンチが大きくなったような代物だが・・・
「不可抗力だったとはいえ、今頃魔塔は大騒ぎじゃないかしらね」
「そうですね」
いきなり足元で声がした。
驚き彼女が下を向くと、二つの淡青色の瞳が此方を見上げている。
「まあぁ! メルちゃん。お久し振りですわねぇ、お元気でしたか?」
相変わらずのマイペースなシンシア王女の姿を、薄闇で少しだけ大きくなった瞳孔で捉えながらメルヘンは後ろ足でスックと立ち上がって
「お久しぶりで御座います。王女殿下」
そう言いながら恭しく貴族のお辞儀を丁寧に披露した。
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